フリースタイルカヤック | 高久 瞳

* フリースタイルカヤック | 高久 瞳

2013年 | ロボ戦記
海外カヤックって、なんて楽しいんだろう♪国内のグルメやキャンプも死ぬほど楽しいけれど、日本ではまず乗ることのできないようなスポットで世界のトップ選手が凄い技をやっているのを目の前で見られるのはとても刺激的なものです。英語も満足に話せない私ですが、そんな刺激を求めて世界戦への挑戦を決意したのが去年のことでした。

初めてワールドカップに参戦した2012年、シリーズ戦の二戦目と三戦目のホール試合で自分では手数の一つになると思っていたマックナスティが一度も得点になりませんでした。当時、参戦する以上は上を目指したい!出番がたくさんあるファイナルまでは残りたい!そんな思いで臨んだ三戦目のナンタハラでの試合。予選をベーシックな技で勝ち上がることができたので準決勝は攻めの姿勢でマックナスティにこだわってみたものの、結果は9位でした…。改めてジャッジを意識した戦い方を知らない事に気付かされ、自分の技の完成度の低さに悔しい思いで帰ってきたのを覚えています。この時に、心の中で密かにリベンジを誓ったのです。『来年は、ジャッジに文句なしでとってもらえる完璧なマックナスティをお見舞いしてやるー!』

そんなわけで今年の世界大会は去年の雪辱を晴らすつもりで挑戦して参りました。今度こそジャッジにとってもらえるマックナスティをきめること、そして楽しみながらレベルアップして帰ってくることを目標にし、意気込んでの参加となった次第です。

今年はワールドチャンピオンシップという二年に一度の本大会で各国選手も気合いが入っているとの前情報もあり、去年よりも長い日程での参戦を試みました。実のところ仕事の調整や準備が非常に難航し直前ギリギリまで夜も寝れない日々が続きましたが、キリキリと身を削って何とか8月1日に出発する事が出来ました。

試合本番まで丸一ヶ月。現地では、マックナスティの完成度を意識して練習、練習、練習の毎日です。まずは新しいボートNEWロックスターに慣れるためにも時間を惜しんで漕ぎました。会場のホールが去年よりマイルドになっていて乗りやすかったことや、ボリューム的に相性の良いフネだったこともあり、楽しくてやめられないという感じで練習に励みました。いつも週末だけで漕ぎ足りない私にとって毎日漕げる幸せはこの上なく、誰よりもよく漕いで、よく食べて、よく寝ていたのは間違いなさそうです。

現地での食事もやっぱり大事ですよね。去年は一日三食ハンバーガーの日があったりして嫌になった経験がありましたが、今年は違います!朝と昼はベーグルやサンドイッチ、シリアルやホットドックなどスーパーで買ったものを好きに食べて、夜は石田選手によるジャパンクオリティな美味しいディナー♪
毎日お米を炊いて、メインディッシュにサラダやスープというバランスの良い食事で健康的過ごすことができました。もっちゃんありがとうございます、私は石田シェフに胃袋を鷲掴みにされました?。

そして世界のトップ選手達に混ざって練習ができる環境に刺激を受け、さらに練習を積みました。毎日バケモノみたいに上手なメンバーを見ていると目が慣れてきて、自分もできるような気になってしまうから不思議です。知らないうちに技から技へ繋ぐスピードが早くなっていて自然とマックナスティが成功したらフォニックスモンキーをやるというルーティンも決まって行きました。
スポットが混んでいたこともありましたが、例の如くとにかく長く川におりまして…練習開始から最後まで同じペースで漕ぎ続ける体力は海外選手もビックリのスタミナだったようです(笑)ずっと漕いでるあの日本人は何なんだ?なんで休まないんだ??食事に上がっても5分で戻ってくるなんて信じられない…などと噂になっていたとか、いないとか。。。

ただしそれも公式練習が始まるまでの話でして、試合の一週間前からは一日一人5本乗れるかどうかという感じです。国別トレーニングの頃には全体的にいよいよ直前という緊張感が漂ってきますね。そんなムードを打ち破るため?日本チームの先輩後輩メンバーと夜な夜なトランプをしてみたり、試合前の漕げない時間もとにかく楽しんだモン勝ちなんだと学びました。

そうして迎えた予選は二本二採用だったのでループを飛ばすことと、マックナスティを正確にきめることを意識してのぞみました。失敗しても成功するまで何度でもやり直すという練習をしていた甲斐があり、結果は二本ともマックナスティがカウントされている得点で予選通過!!なんとか作戦通りのライドで特訓の手応えを感じることが出来て嬉しかったです。

次の準決勝は初めてのナイターでした。日本でも月明かりで闇練した経験があったので勝算はあるかな?と感じていたのですが、ライトアップされてみると昼間と同じくらい明るく・・・心の目は特に必要なかったですネ。今度は二本一採用で、他の選手達が高得点を出していて400点オーバーのハイレベルな戦いでした。この時に予選と変えたのはフェリックスをルーティンに入れたことです。他の選手の点数の出し方やジャッジの採点基準などを分析して、使えそうな技があればトライすることも必要なのだと分かってきました。そして念願のマックナスティを武器に出来たおかげで決勝進出が決まりました!持ち前の鈍さを発揮してあまり普段との違いを感じることなくプレイ出来たのも良かったようです?

最後はいよいよ決勝です。皆に助けられてこの場に浮かぶことができ、ついに決勝の舞台で戦える。それだけで極上の幸せでしたっ。自分の恵まれた環境を思い起こしては仲間,友達,家族,職場,応援してくれる全ての人に感謝の思いが溢れてきます。決勝は三本一採用なので気持ち的に余裕があったのかもしれませんし、幸せを感じながらプレイ出来たのが良かったのかもしれませんが、初めて本番で楽しんでカヤックに乗ることが出来ました。出番が来ると今までにない満ち足りた幸福感でいっぱいになり、45秒が本当に楽しい瞬間の連続だったのです。
ここへ来るまで暖かいご支援、ご協力を頂いた皆様に心の底から感謝を伝えたい、そんな瞬間でもありました。

結果は二位でしたが、自分が誰よりもこの試合を楽しめたのは間違いないと思っています。それだけは一位のクレアにも負けてないつもりです!!
皆様へ感謝×感謝×感謝の世界選手権でめいっぱい楽しんだら銀メダルという結果が出せて…誰より感動したのも私かもしれません。

浮気せずフリースタイルカヤックに人生を捧げて良かった!!気狂いと思われてもめげず(笑)脇目も振らずに漕ぎまくった日々も無駄ではないんだ!そしていつも一緒に漕いで下さり、時には犠牲?になってまでも全力で応援してくれる仲間に、少しは恩返しができたのかしら??やっと自分との戦いに勝てたんだ…などと整理のつかない頭で、自己満足な達成感がいつまでも駆け巡っていた記憶があります。

もしも銀メダルの要因は何かと聞かれたら、自分では大会に備えて特別な訓練をしたと言うわけではなくいつも通りに漕いでいただけだったので、たくさんスポットに乗れる環境を作れたことが一番大きかったように思います。それから去年の経験があるのとないのとでは大きな違いがありますので、同じ会場での試合を経験していたというのがとても有利なことだと感じました。
あと、私にとって欠かせないのは楽しく漕ぐことなのだという事も実感しているところです。まだ出来ていない技もいっぱいありますので、今後もトリッキーウーやオービットを課題に燃え尽きることなく漕ぎ続けるでしょう。今まで通りのパドリングが続けられるうちは、『打倒クレア』で頑張ります!!

ちなみに帰国後、毎日漕いだ後遺症?で腕が太くなり仕事用のブラウスが破けてしまったのは内緒です(笑)
これ以上は許されないんじゃないかと、真面目に思う今日この頃…なのでした。

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フリースタイルカヤック | 高久 瞳

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フリースタイルカヤック | 高久 瞳

* フリースタイルカヤック体験記 | 海外でカヤック三昧の暮らし

* Result 過去の戦績

2014フリースタイル ワールドカップ総合優勝。女子K-1種目において第1位。史上初の金メダル獲得。
2019年 フリースタイル世界選手権優勝。女子K-1種目において第1位。史上初の金メダル獲得。

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